――――?


声がする方に顔をあげてみると、そこには神城くんがいた。


「……どした? なにかあったのか? 俺でよければ話して」


「……う……うぅっ……うえぇぇんっ…………!!!」


私は神城くんの優しい声を聞いて泣き出してしまった。突然泣き出した私をみて、神城くんおろおろしていた。私はいじめられていることを全部話した。


「……そっか……仲良かった子も彼氏もいきなり……。昨日お前と滝川が休んでいたときにちょっと聞いたんだ。福井瑞菜ってヤツがお前と仲がいい友達全員に、『尾崎さんってね、男好きなんだよ』って広めてたんだ。そのことはクラスだけじゃなく学年全体に広まっちゃってる。皆は信じちゃってるんだ、嘘を。そして滝川……アイツは信じないと思ってたら、簡単に信じやがった」


私はショックでフリーズした。


「……あっ、俺のこと大河って呼んでいいから。あと、メアド交換しない? もし何かあったときに連絡とれるし」


「……うん、わかった、よろしくね大河くん」


私達は赤外線通信で電話番号とメールアドレスを交換した。


「……じゃ、またな。何かあったら遠慮なく俺にいえよ? 俺はお前の……尾崎の味方だから」


大河くんは少し顔を赤くしてそういった。


「うん! またね!」


大河くんは体育館裏から去っていき、校舎に入っていった。


「……私も……そろそろ教室にいこうかな……」


私はゆっくり立ち上がり、教室に戻った。