「えっ……と……先生っ……高校の……」


「……石川先生……」


「……あー! 数学の先生の!」


石川光貴(いしかわ こうき)先生。数学の先生で独身。優しく教えてくれるから男女問わず人気の先生。


「コクったり……しないの?」


「えっ……コクりたいけど……先生と生徒だよ?」


「大丈夫っ! 今日コクっちゃえ☆」


えええっ!?一穂も舞もいきなりすぎ!!


「よし! 食べ終わったら石川先生を呼び出そうぜっ!!」


朝田まで!?


「えっ、ちょ……心の準備が――」


「ほら有理、行くよ!」


気が早いよ皆……




私達は職員室にいって石川先生を呼んだ。


「はーい、何か用ですかー?」


「……あのっ……ちょっと数学の事で分からない所があるのですけど……放課後、数学室で……教えてくださいっ!」


有理ったら、顔真っ赤っ……


「あぁ、いいよ! じゃあ放課後、待ってるから」


そう言って石川先生は職員室に戻っていった。



――そして放課後、有理は学活が終わったあとに数学室に向かって走っていった。


私達は有理が戻ってくるまで下駄箱で待った。