気がつくと、私は拘束されていた。

「むごご…!」

何かを喋ろうにも、口を覆った布が邪魔する。

さらに言えば、体全体がドラム缶のようなものにくくりつけられていた。

「…目、覚めた…?」

久しぶりに聞く、高い声。声のする方を向く…ことはできないので、視線だけを向けると…。

「おはよ、理奈ちゃん。」

癒紀が私の方を見て、笑っていた。

「むご、むご、むごご…!」

しかも、周りにはいかにもなヤンキー達がぞろぞろと。

…まさか。

癒紀は、隠れた番長的存在だったのか…?

「さてと…。」

癒紀がゆっくりと近づいてくる。

「何か言いたそうだし、外してあげる。」

私の口を覆っていた布が、癒紀の手で取られていった。

「ど、どういうこと…?」

怒り半分、驚き半分だった。

「この状況見て分かんないの? 私、理奈ちゃんを拉致したんだ~。」
「…拉致…?」
「そ。私、ちょっと聞いちゃったんだよね。」
「何をよ…。」
「理奈ちゃんって…人間じゃないでしょ?」