癒紀と気まずい関係になって、はや一か月。

あれから、一度も癒紀と口をきいていない。

そんな中、ある噂を耳にした。

ここに、留学生が来るらしい。

どんな人だろう、と考えていると、癒紀が登校してきた。いつもは遅刻してくるのに、今日は早い。

「あ、癒紀…。」

私は話しかけようとしたが、それより早く癒紀が教室を出て行ってしまった。

「…。」

恐らく、癒紀は相当なダメージを受けたのだろう。だから、避けられても仕方がない。今更ながら、そんなことを思った。

そして、ホームルーム。

「えー、今日からここに来る留学生の子を紹介します。ミシェル・Z・ホワイトさんです。」

入って来たのは、背が高くて金髪、目の色も緑でスレンダーな、いかにも外国人、と言わんばかりの人だった。…これが、私達と同じ歳の人なの…?

「じゃあホワイトさん、自己紹介して下さい。」
「ハ~イ。」

「え~、私はミシェル・Z・ホワイトデ~ス。アメリカから来マ~シタ。これカ~ラヨロシ~クお願いしマ~ス。」

文法的には間違っていないが、かなりカタコトな日本語だった。

「じゃあホワイトさん、あそこの席に座って下さいね。」

そう言って先生が指定したのは、私の後ろの席だった。