歌声は君へと





 異国人、か……。

 
 スノウに揺らされても、そして私が寝室へ行き、彼を寝かせるために動かしても目を覚ます気配がない。

 


「薬箱と、布持ってきてくれる?」

「うん!」



 寝室、といっても私はこんな体なのであまり使わない。普段はキアラが使っているのだが、家具らしい家具はほとんどない。殺風景な部屋だ。
 たた花が飾ってあるくらいで、もう少しなんとかしたいのだが…。


 キアラがばたばたとしているらしいのを聞きながら、私は濡れた洋服を脱がしていく。ズボンを脱がすさいにやや躊躇ったが、このまま濡れた状態で寝かせられない。目のやり場に困りながら脱がせ「持ってきたよ!」という声に「ありがとう」という。
 持ってきて貰った布でシーツなんかを変えながら、体も拭いてやる。

 太ももの傷が酷い。
 まわりに綺麗にした後、薬箱から手製の塗り薬をとる。
 こんなとき、知っていて良かったと思う。ただ…これだけ酷いとちゃんと効くかわからない。けど使わないよりはマシだろう。
 逞しい胸板から目を離しながら、太ももの怪我に薬をぬる。染みるだろうか、などと思いながら丁寧に塗っていき、「はい」キアラから差し出された包帯で巻いていく。

 続いて腕の傷にも同じように包帯を巻き、一旦はこれでいいだろう。
 
 
 

「この人、大丈夫かな」

「大丈夫だと信じよう?」

「うん…」




 それからキアラに枝拾いを任せ、私はその部屋に残る。
 キアラの寝る所を移動させなきゃ、と思いながら、熱が出ているらしい男の額へと添える。