歌声は君へと





「ねぇ、お姉ちゃん」

「うん?」




 寝室は現在あの人が使っているから、農具なんかが置いてある場所をちょっと整理して、ベッドを置いていた。
 そこに、キアラが座りながらぽつりという。




「きっと悲しいことあったんだよ」

「どうしてそう思うの?」

「だって、悲しそうな目をしてるもん。ああいう目、知ってる」





 悲しそうな目、か。
 そういわれると、確かにそうかもしれないと思う自分がいる。

 怪我はだいぶ治りつつあるが、まだ完全ではない。杖がなくてはあまり歩けないし、その間キアラがぴったり張り付いている。もちろん、キアラが何かあったらと近くにはスノウがいて、欠伸をしている。
 彼はぼんやりとしながら、キアラの話すそれにわかっているのかなんなのか、頷くような仕草を見せていた。
 見た目によらずそれがなんだか可愛らしくうつり、微笑ましく思っていた。

 そして、だ。

 やはりあの馬は、彼のらしい。
 僅かに驚いたような顔をし、撫でてやっていたのを私は見ていた。
 馬に乗ってきたのなら、目的地があったのではないのか。
 
 シーツを変えながら、色々と考えている私をよそに「お兄ちゃん、笑えばいいね」とキアラがいうそれにはっとする。

 ときおり、キアラは大人びたことをいう。
 だんだん大きくなっているのだから当たり前なのかもしれないけれど、私は少し不安だった。
 ここでは、私しか相手はいない。
 あのくらいの歳なら、外でたくさん遊ぶのはそうだが、同い年くらいの子とも遊ぶだろう。私ばかりだと、先が心配なのだ。だって……私は、こんなだから。