大きく息を吸う音。 一呼吸おいて、 「…人は」 その子は再び口を開く。 「人は、自分の力だけじゃ…空を、飛べないよ。…飛べないの」 声が、 言葉が、 鮮明に聞こえて、 入ってきて、 焼き付ける。 「…つぶれたカエルになるだけ」 刻み付くんだ。 「知ってるよね?…あなたは」 「……」 俺の中に入ってきて、揺るがせるんだ。 「ねぇっ…!」 俺の中で、プツン…と糸が切れた。 「…ああ、知ってるさ!」