「はい、どうぞ」



家に帰ってきて早速、ガトーショコラを切り分けて机に置いた。


直人の好きな銘柄の紅茶も添えて…



「……」


「食べないの?」


「いや、食べる。
食べんだけど、チョコ…用意してたのかと思って」


「してるよ?何で?」



不思議そうにする直人を見て、私も訝しげになる。



彼氏のチョコも用意しないようなヤツに見えてたのか?


だとしたら凄いショックなんですけど…



「昼間にチョコ配り歩いてただろ?
そん時俺には無かったから、てっきり…」


「渡さない訳ないじゃん!
直人は私のかかか、彼氏なんだから!
家に置いてたのはしっとりさせた方が美味しいと思ったからで…」



自分のチョコはないと思って落ち込んでたのかな…?


ちょっと申し訳なかったけど、


少し嬉しかったり。



「ニヤニヤしてんじゃねぇよ」


「えへへ〜」