ピンポーーンーーー


 

「あれ?誰だろ、こんな時間に…」



セールスが来るには結構遅い時間だし。


そもそもこれ、エントランスからの呼び出し音じゃないよね?



「…はい」


「夜分遅くにスミマセン!あのお、私、隣に引っ越してきた者で…
一応挨拶をと思いまして」



若い感じの男の人の声が流れてくる。


液晶には予想通り廊下が映っていて、


声の主は髪の毛しか見えず、どんな人かは分からない。



「ご丁寧にありがとうございます。
今扉を開けますので、お待ち願えますか?」



通話ボタンを消して、上着を羽織りにいく。


ホントは着替えたい所だけど…ドアの前に居るんだし、そんな余裕はなくて。



「そういえば…直人の話って何だったの?」


「あ、いや……今は、いい…」


「そ?」



その割には項垂れてる気がするんだけど…


今は待ち人の方が先か!