美桜は確実に状況を理解出来ていず、ポカーンとしている。


見開いた大きな瞳にはきっと大和しか映っていないんだろう…



音もなく来た道をまた歩いていく。




あぁ、胃がムカムカする…




大和が美桜を好きなんて分かりきっていた。


なのに……何故か釈然としない。



美桜が好いているのは坂口だ。
二人が付き合うこともない。



そう落ち着いて分析しながらも溢れてくる気持ち。



明日から美桜が大和を意識すると思うと苛ついてしょうがない。



『嫉妬』



言葉にするのであればこれがピッタリ当てはまるであろう。


分かっちゃいる。
分かってはいるけど……



それを認める訳には、いかなかった。