私のはじめてを君に。



浴衣も準備しなくちゃ。


去年と同じやつでいっか。


「あれ、もう揃ってる」


教室のドアをガラガラッと開けて中を覗いた那子が首を傾げる。


「信一郎、水瀬、おはよ!」


「おー」


「今年も夏祭り行こうよ」


うわ、いきなり話振っちゃってるし。


3人で盛り上がってるのをぼんやりと見つめる。


「悠希、んなとこでなにしてんだよ」


「もっとこっち来なよ」


「いつの夏祭りにする?」


「あ、うん」


私も急いで席に座る。


「あ」


桜が、こっち見てる。


どうしよ……千暁に言ったほうがいいのかな。


でもこの盛り上がってるのを壊したくないし……


よし、言わないことにしよう。