私のはじめてを君に。



「名前は?」


「し、知らない」


「知らない人とデートしてんの?」


「ん、ちが」


「ダメじゃん」


「あ、ふ」


「もう彼氏作ろうとすんのやめろよ」


「んゃ……」


ちゅ、ちゅ、と言葉の間に啄むようなキス。


もうっ!


これじゃあまるで、どっかのバカップルじゃん!


「ちょっ、」


「いざとなったら俺が貰ってやるからさ」


「ちあ、だって……桜がっ…」


「それとこれとは別」


別じゃないでしょ!


なんで千暁は彼女を作るのに私はいけないわけ!?


「私っ…ぜーったい彼氏作るもん」


千暁の口を両手で押さえて宣言する。


「勝手に言ってろ」


私の両手を退かしてちゅ、と口付け。