「そんなことないでしょ…………たぶん」
今なんか聞こえたけど。
「はいはい」
もういいや。
「……彼氏ほしいんだ?」
「そりゃあ人並みにはねー」
「頑張って」
ははは、と笑いながら私を見下ろしてテクテクと渡しを置いて歩いてく。
見下ろされてるー!
「…………なんかムカツク」
ボソッと呟いて吉岡の背中を追いかける。
「あっ」
「アッ!?」
突然止まった吉岡の背中に、下を向いて歩いてたせいで激突した。
「立ち止まらないでよ」
「倉野、映画行かない?」
「映画?」
なんでわざわざ私と?
って思ったけど、きっと私に気を使ってくれてるんだ。
男っ気がなくてかわいそうだから。

