スタスタ歩く私は立ち止まった千暁を無視。


「あるよ!」


ないけど!


そんなこと言ったら馬鹿にされちゃうし!


「……ふーん」


追い付いてきた千暁と、傘をバンッと開いて雨のなかを歩く。


歩くたびに水が跳ねて靴下を濡らす。


「俺んとこ来ればいいのに」


「桜がいるんだから冗談でもそうゆうこと言うのやめなさい」


「本気かもよ」


「なんだかんだ千暁は口だけだもんね」


「なんだよ」


「ぶぇっつに」


口を曲げて千暁を見上げる。


「ぶっさいくな顔だな」


プニッ。


いつもみたいに片手で両方のほっぺを潰す。


「ぶーっ」


すぐにこんな奴よりもっともーっといい人を彼氏にしてやる!