「あー、うん、オッケー、わかったわかった…………チッ」
なにやら適当に通話を終わらせたらしい。
隣を見てみれば眉間にシワを寄せて携帯を握りしめる千暁。
「なにー?桜が恋し?」
「はぁ?ざけんな」
まぁ、舌打ちしてたもんね。
「……もうこんな時間か」
「うん」
「んじゃあ…俺帰るわ」
立ち上がった千暁を見上げて。
「腹出して寝んなよ?」
「大丈夫だよ!」
私の髪をワシャワシャッと撫でて、笑う千暁。
「また明日な」
「うん、おやすみ千暁」
「ん。おやすみ、悠希」
ちゅっ。
千暁は、おやすみのちゅーが小さい頃から好きだったね。
自分の家に帰った千暁を見送り、私も自分の部屋のベッドに倒れこんだ。