「やべぇ、電話来た」
「えっ!」
「落ち着け、黙ってろ」
「ふぐっ」
私の口に手を当てながら、携帯を耳に当てた。
「あ、もしもし?」
……なんだ、結局桜のこと好きなんじゃん。
ちゃんと電話してるし。
なにが、"悠希のほうが好き"よ。
口元の千暁の手を両手で剥がす。
(黙れ)
口パクでそう言って睨んでくる。
(しゃべってません)
言い返して思いっきりウザい顔をする。
「うるせーっつの」
「ぎゃふ」
私の弱点脇腹をガッと一発で仕留めるあたりが、さすが幼なじみ。
「あー、悪ぃさっきからうっさいのが側にいて」
まさかそれ私のこと!?