私のはじめてを君に。




千暁のほっぺを軽くつねる。


「そーでした、彼氏いない歴=年齢の悠希に聞いたのが間違いでした」


「…………桜ともちゅーしたの?」


「してない」


即答かよ。


「彼女なんだからするべき」


「好きじゃないから例外」


『お父さんが言ってた! "ちゅーするのは好きだからなんだ"って!』


小さい頃の、どや顔でそう言う千暁を思い出して思わずクスリと笑いが溢れる。


まだそれ信じてたんだ。


「元カノとは?」


「してない」


「本当に?」


つまんだままの千暁のほっぺを軽く引っ張る。


「…………なに?嫉妬?」


「ちっ、違うし!」


なんで私が千暁に嫉妬なんか!


「……いいよ、嫉妬しても」


「しないやい!」


焦りすぎて時代感を失った。


「……は?お前なに時代の人だよ?」