「可哀想なくらい可愛くない」
「ひっでぇ」
あはっ、て大口開けて笑う千暁の背中の向こう側にこっちを真っ直ぐ見つめる女の子。
……千暁の彼女。
ははん。
「桜にヤキモチ妬いてほしいんだ?」
千暁にそっと呟く。
「はぁ?んなわけねーだろ」
千暁の彼女、相原桜。
学年でも指折りの美少女。
小さくて華奢で、守ってあげたくなるタイプの女の子。
本当にいい子で、友達が少ない私とも仲良くしてくれてる。
「なんならここでちゅーしてみる?」
「するか馬鹿」
そんな嫌そうな顔しなくてもいいのに。
「さっきから桜こっち見てるよ、行きなよ」
千暁の背中をドンと押す。