「来年は受験生だから、遊べるのは今年までだな」


「そうだね

千暁は、狙ってる大学とかもうあるの?」


「……具体的にはないけど 何校か模試で判定はしてるよ」


「高2の夏なんてそんなもんだよね」


「ほんとー……あっという間」


ふぅ、と空を見つめたままため息をついた千暁。


「今日満月」


スッと千暁が指差した月。


「本当だ」


「……悠希、今年の夏祭り……また俺と行く?」


「えー……?千暁には桜がいるじゃん」


「夏祭りは悠希と行くって決まってんの」


「桜と行ってよ……桜のこと裏切らないで」


「別に裏切るわけじゃない」


「でも……」


「それとも悠希、誰かと約束してる?」