間違えるはずのない、大好きな声が聞こえた。 あぁ、私。 幻聴まで聞こえてる。 重症な千暁病だ。 「誕生日、おめでとう……」 本人に言えない。 空耳の千暁に、誕生日を祝う。 「悠希っ!!!」 バシャン、と水溜まりを踏む音。 「無視すんなっ…」 真後ろで聞こえた、千暁の声。 恐る恐る振り返り、確かめる。 「…………なんで?…」 「なんで?は、こっちの台詞、」 髪の毛から滴を垂らした千暁が、膝に手を置いて肩で呼吸していた。 「何度も、呼んだのに、なんで、無視すんだよっ…」