やっとのことで書き上げた反省文を読み終えた田中先生は、コホンと咳払いをした。


「以後、こういったことが絶対にないように」


「はい」


深々と頭を下げ、職員室を出た。




「っ……はぁーーーー……」



やっと返ってきた携帯をポケットに押し込み、ノロノロと教室に戻り、リュックを背負う。


やーっと帰れる。


重い足を引きずるようにして下駄箱でローファーに履き替えた。


小さな折り畳み傘をバッと広げる。


うーん、小さい。


まぁ、あとは帰るだけだし。


雨のなかに足を踏み入れた。






パシャ……パシャッ……



傘がない人が走っていく帰り道。





「悠希……」