「うん」


ニコッと笑って教室を出ていく。


よかった。


私にはまだ友達がいた。





ホッとしていると、那子が前の席に座った。


「悠希、おはよ」


「おはよ」


「……話したいことがあるんだけど、今日大丈夫?」


「大丈夫だよ」


「じゃあ、放課後。図書室で待っててね」


「うん」


那子も、わりと普通だ。


よかった。



しばらくして、授業が始まる。


全く頭に入ってこない古典。


視界の端には千暁。


勝手にドキドキしちゃって、馬鹿みたい、私。


「はぁ」


ふと、千暁のため息が聞こえた。


下を向くふりをしてちらりと横を見ると、捲り上げたワイシャツから出た筋肉質な腕。