「はぁっ、はぁっ……」


ひたすら走って走って、やっとのことでたどり着いた千暁の部屋。



インターフォンを押す手が震える。


「あら、悠希ちゃん」


千暁ママ。


「こんにちはっ…あの、千暁……千暁いますか?」


「千暁?千暁は蒼大と泰斗と今テニスしに行ってるわ」


テニス……


「なにか伝えることがあるなら伝えておくけど……」


伝えたいこと!?


ブワーッと顔に熱がたまる。


「い、いえ、そんな、」


「あら。自分で伝えた方がいいわね」


帰ってきたら悠希ちゃんのところに行くように伝えるわ、と言ってくれたので、大人しく家に帰ることにした。




…………ダメだ、緊張する。