「……え…?」
「すいませんっ…キス……でき、ない…」
千暁じゃない。
それだけで、キスはもちろん…さわってほしくもない。
「すいません先輩…私っ…」
ポロポロと溢れる涙。
「…………やっぱり、水瀬に勝てない?」
ため息と一緒に吐き出すような、脱力した声。
思わず、え?っと先輩を見る。
「いい奴だもんね、水瀬」
「え?」
「幼なじみでしょ?」
「っ、はい…」
「好きなんでしょ?」
あ……桜にも言われた。
「好き…とか、思ったことはないです……ただ、千暁とは小さい頃からずっと一緒で……」
私の背中をポンポンとゆっくり叩きながら頷いて聞いてくれる。

