私のはじめてを君に。




「蒼大も、準備手伝え」


「…………泰斗、行こーぜ」


「あっ、待ってよー」


二人で千暁家に材料を取りに戻る兄弟。


なんだかんだ、仲良しだよね。


「……はぁ、蒼大、ムカつくよなー」


「千暁の中3の頃にそっくり」


「はぁ?俺はあんな無愛想じゃなかったよ」


「嘘つけ」


いつものように隣同士に準備された私と千暁の椅子にストンと座る。


「あっ、私は野菜焼けばいい?」


「プリンでも食ってろ」


押し付けられるように渡された、さっき買ってもらったばかりのプリン。


「千暁は素直じゃないんだから」


やれやれといった感じの千暁パパの声に、私も千暁もバッと振り返る。