変わらない千暁の表情。


「ごめん、あの、私……帰るね」


急いで荷物をまとめる。




「…………悠希」




低くて、穏やかな声に振り返る。



「だとしたら、どうする?」


惚れてしまいそうなくらい、柔らかい笑顔。


「えっ……」




「もし、俺が悠希のこと好きだとしたら……どうする?」




「……ち、千暁は…幼なじみで、お兄ちゃんみたいな存在だよ」







掠れた声を絞り出して、呟く。



荷物を持つ手を強く握りしめ、部屋を飛び出した。




嘘だよ。


千暁が私のこと好きだなんて、嘘。


嘘って言って。


自分の部屋に閉じこもり、千暁の部屋が見えるカーテンを勢いよく閉めた。