私のはじめてを君に。



黙って桜についていくと、家庭科室にはいった。


これまた微妙なところだな……


「……悠希」


クルリと振り返った桜が、勢いよく頭を下げた。


「あっ、桜!昨日のこと?それなら気にしてないから」


「違うの!」


え……?


「……千暁くん、わたしに頂戴」


え?


「あ、えっと…」



「千暁くん、悠希のことが好きなの!」



えっ?


「いや、そんなわけないよ」


だって桜と付き合ってるじゃん……


「悠希は百瀬先輩が好きなんでしょう?だったら!千暁くん、放して……」


「私になにをしろと……」


「千暁くんと、距離を置いてほしいの」


無理だよ……


私の生活の一部に千暁がいるんだもん。