グイッと差し出された腕。
「なに?」
「使う?」
「大丈夫だよ」
腕を軽く押し退け、歩く。
「2、3日で治るって先生も言ってたしっ 」
「………………辛くなったらすぐ言えよ」
「うん」
「……鼻血まだ止まんねぇの?」
ブフッと笑われて、鼻に詰めたティッシュの存在を思い出す。
「ちょっとあっち向いててっ」
千暁にそう言ったものの、何故か私が背を向け、鼻からティッシュを抜く。
「うわあっ」
デローンと垂れてきた鼻血にびっくりして、声をあげた。
「まだだった?」
「うぅ……このまま帰るなんて…」
途中でマスクでも買ってこうか。

