私のはじめてを君に。



二人の会話に割り込む。


「へぇ……よくそんなこと知ってんね?」


「夜?」


ほぼ同時に二人が変な笑みを浮かべてこっちを見る。


うっ……


「わっ、私二人三脚行ってくる~!」


脱兎のごとく猛スピードで逃げ出した。




「あ、悠希」


先に千暁がこっちに気がついた。


「さっ、桜!二人三脚やろう!」


「うんっ!あとでね、千暁くん」


「ん」


手を振りあうバカップルを横目に、桜が持ってた手拭いで桜の左足と私の右足を縛る。



私のほうが運動神経はいいはずだから、転んだときに桜が怪我しないように利き足は自由にしておこう、って考えた。


桜が怪我したら千暁に怒られちゃうもんね。