先輩に連れてこられたのは高校の最寄り駅。
先輩はさっきから落ち着きないほどに一人で喋っている。
聞いてるのも見てるのも楽しいからいいんだけどね。
「ここ…覚えてる?」
突然足を止めた先輩。
ここは駅から学校までの道中。
「はい?」
「俺、ここで初めて悠希ちゃんと喋った」
え?
記憶を探ってみるけど、先輩と初めて話したのはここじゃない。
「初めて話したの、学校でですよ」
「違う、ここ」
頑なにここだと言い張る先輩。
そんなこと言われても記憶にない…………
「あ」
思い出した。
「確か先輩、ここでお守り落として…」
「そう」

