プンスカ怒る那子と、ポカンとした顔の千暁、苦笑いの信一郎。
確かに行きたいケーキ屋さんはあった。
だけど、それ……
「那子に言ったっけ?」
私の記憶が正しければ、千暁に言った気がするんだけど……
「えっ……?」
「…………五島」
千暁の、どういうことだ、とでも言うような声。
「ま!まぁいいじゃん!ほら、もうすぐ着くから!」
「あ、ほんとだ」
「結構混んでるな」
入り口にできている人混み。
並ぶのかぁ。
列の最後尾に並ぶと、千暁が私の腕をひっぱった。
「えっ、横入りはダメでしょっ…」
「なに言ってんだよ、さっさと着いてこい」
「わっ」

