なんで、手つなぐんだろ。
必要なのかな。
私、迷子癖あるけどさすがにこんなところで迷子にはならないよ。
「千暁、暑い」
「ん」
千暁の陰にいれてもらう。
……涼しくはならないんだけど。
「千暁、寝癖なおってない」
グッと背伸びして千暁の茶髪を倒すけど、ぴょこぴょこ跳ねる寝癖は直りそうにない。
「悠希こそ、後ろ跳ねてる」
千暁の手が、私の後頭部を押さえる。
「直んねぇな」
何度も何度も倒してるのが、なんだか撫でられてるみたいで気持ちいい。
「顔は洗ったんだな」
「はっ?」
「よだれの跡、ついてた」
私のほっぺを摘まむ。
よだれの跡なんて早く言ってよ、もう。

