私のはじめてを君に。



「…………あぁ、そっか」


起き上がって自分の髪の毛をワシャワシャとかきむしる。


なにが"あぁ、そっか"だよ!


「おはよ、悠希」


「うん、おはよ」


柔らかく、フニャッと笑う。


「早く、服」


「え?あぁ…」


床に落ちてるTシャツを拾い、バサッと頭を突っ込む。


ピョンと跳ねた寝癖が揺れた。


「悠希、今日暇?」


「うん」


たいてい私は毎日暇。


「ちょっと、付き合ってほしいとこがあるんだけど」


「あ、いいよ」


「じゃあ、あとで迎えに来る」


「うん」


案外アッサリと起き上がり、さっさとベランダに向かい、隣のベランダへ飛び移っていった。


猿かい、あいつ。