私のはじめてを君に。



そういえば昨晩、千暁の突然の訪問があった。


そのまんま寝ちゃったってことかな。


……千暁ママ、心配してないかな。


まさか自分の息子が夜這いをかけていたなんて、想像したくもないだろうね。


て、夜這いはかけてないか。



とりあえず、落ち着いたところで千暁を起こそう。


「千暁、起きて」


にしても、寝汗かかないのかな。


まったく汗臭さを感じない。


千暁のいいにおい。


「千暁」


あ、また前髪伸びたな……


いい加減切ればいいのに。


目に入らないのかな。


瞼に被さる前髪を少しはたくと、猫のような目がパチリと開いた。


「……あれ?」


目の前に私がいることを驚いてる様子。