グシャグシャの髪を手櫛で整え、玄関に座る千暁に声をかける。
「千暁、準備できた」
「……うどん食いに行こう」
「あ、あぁ、いいよ」
なんか疲れはてた顔。
「どうかしたの?」
「やっぱり悠希とお好み焼きに行くべきだったよ」
「え?」
「いや、あいつと昼食いに行ってきたんだけど」
「桜?」
彼女をあいつ呼ばわりって……ひどいなこいつ。
「なんか……フワフワのシフォンケーキのお店なのー!って……店に連れ込まれて……」
下手くそなものまねだなぁ。
「ぜんっっぜん足りねぇ」
だろうな。
私でも足りないよ。
「もしかしてお昼シフォンケーキだけなの?」