ひょい、と差し出されたプラスチックのスプーンを受け取り、ありがたく小さい手提げにプリンと一緒に入れた。
またみんなが騒がしくなったと思ったらいつのまにか教壇に担任がいなかった。
「あれ?」
いつのまに終わったんだ?
ま、いいや。
「千暁くん」
ひょこっと現れた桜。
「あの、ここ教えてもらいたいんだけど」
「おお、いいよ」
どこ?と言いながら座ったまま桜の持つ本を覗く。
「桜、ここ座りなよ」
椅子を差し出して立ち上がる。
「いいの?ありがとう、悠希」
「うん、ごゆっくり」
「悠希どっか行くの?」
「うん、トイレ。漏れるわ」
「コラ!下品なこといっちゃダメ!」