私のはじめてを君に。



幼なじみが他の子に取られて少し寂しいだけだ。


なんだ、信一郎の言う通りじゃん。


「あ、悠希、吉岡」


前の席の那子が、突然振り返って教室の入り口を指さす。


あれ?いつの間にホームルーム終わった?


今日は午前中だけだからもう帰れる!


やった!お好み焼き!


「え?私を呼んでるの?」


「みたいだよ?」


「うん、ちょっと行ってくる」


ガタッと立ち上がって吉岡のもとに向かう。


「倉野」


「どうしたの?」


「ちょっと話があって」


「あ、うん、今?」


「うん」


あぁ……お好み焼きが遠退く……


「ここで?」


「いや、ちょっと」


歩き出した吉岡の後を追いかける。