「あっ、おい悠希!」


席を立ち上がった瞬間、呼ばれた名前。


「悠希、おま…ふごっ」


私が慌てて口をふさいだこの男。


Yシャツの下から赤いタンクトップが見えてる。


「大声で名前で呼ぶなって言ってんでしょ馬鹿!」


「あっ、あぁわかってる」


「わかってないから呼んだんでしょうがこの馬鹿!」


「っ……馬鹿馬鹿言うなよ」


口をふさぐ私の手を剥がして千暁が喋る。


「じゃあ何度も同じミスしないで馬鹿!」


「また馬鹿っつったな!?」


「何回でも言ってやるわ!」


フンッと胸を張ってみせる。


「ない胸張ってんじゃねぇよ」


「なっ……!うっさい!」