「ニカはやめろ。………って、渚、ゲスいシチュでも思いついたの?男子トイレの個室の中でキスしてみるとか?」

「おまえ相変わらず変態だな。よくそういうの思いつくよ。……じゃなくて。午後、サボらねえ?」



冗談か本気か。

それを見極めるために、渚の目をじっと見つめる。強い力のあるその目には、冗談っぽい雰囲気はない。




「どこ、行こうっての………?」

「………さあな。原宿とか新宿とかそのあたり?メシ食って、その後金曜のHRデーに着てくもんでも選んでやるよ」



さすがに言われたことが想定外すぎて、たっぷり数十秒固まってしまった。

こいつ、何企んでんだろ。



「なにそれ。デートごっこ?………そういうのはリア充とやったら?」



うしろめたさがあるのか。その名を出すと、わずかに渚の顔が曇った。



「リア充言うな。……おまえさ、このままだと『当日着てく服がないから遠足行けなーい』とか言いそうだし」

「『一身上の都合』で欠席するつもりだから。そんな女子みたいなこと言わねぇし」

「おまえ女子だろ、一応、仮にも、とりあえず」



そう言うと、王様は独断で「たまにはサボんのもいいだろ」なんて言って勝手に決定事項にしようとする。