可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。



リア先輩と渚が妙に学校内でいちゃいちゃしだしたのも、あたしがあのふたりのキスを偶然目撃するようになってからも、今日で3日目だ。



初日の月曜は放課後。あたしが当番のゴミ捨てに行く途中、駐輪場の陰で人目を忍ぶように渚とリア先輩はキスしてて。


昨日は中庭で他の生徒が覗いているのもおかまいなしに、お弁当を一緒に食べたあとに堂々と。


そして今日は彼女は甘え、彼は甘やかすようなやり方で。








見てしまった方がたまらなく恥ずかしい思いをさせられるような、恋人同士の甘い雰囲気。

ふたりだけで完璧に満たされた世界。





-----------きっと本物のキスってああいうやつのこというんだ。





渚があたしとしているのとは全然別物。

あたしたちのそれは、動物同士の甘噛みのような、ただじゃれ合っているだけの行為。

キスってものはそれ以上にもそれ以下にもならない。




でも気持ちが通じ合っている2人がくちびるを触れ合わすときは、あんなにも完璧な世界があるように見えるんだ。




嘲笑でも怒りでもなく。
嫉妬や羨望、ましてや寂しさでもない。


でもそのどれかであるような、ないような。そんな不確定な感情を抱きつつ、あたしは図書室の一角でモサモサするサンドイッチのパンをミルクティーで流し込み続けた。

いつも以上に機械的に、ひたすら咀嚼し続ける。




自分で思っていたよりも深く物思いに耽っていたようで、声を掛けられるまで背後に近寄ってくる人がいたなんて気付かなかった。



「図書室って、飲食禁止じゃなかったっけ?」



そう話し掛けられたとき、まるでびびったみたいにビクリと背中が動いてしまったのが軽く屈辱だった。



思いっきり目を眇めてやってゆっくり振り返ると。

想像通り、あたしの背後に立っていたのは七瀬由太だった。



「昼飯、ここで食べていいなんて知らなかったな」



そういって七瀬はあたしの了承も得ずに、勝手に隣の席に座ってきた。