可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。


「でも、なっちゃん……」

「自分からねだっといて何びびってんだよ。どうせこんなトコ、人なんて来ねぇよ」

「でも私、昨日はちょっと恥ずかしかったんだよ……?」

「ごちゃごちゃうっせぇーな。どうすんだよ」




図書室はもう目の前。



息をひそませるようにささやき合うふたりの声は聞こえていたけれど、立ち止まることも出来ずに忍び足のまま進んでいくと。

廊下から少し奥まった、階段へと続くスペースに渚が背を向けて立っているのが見えた。




「………うん。して」



甘えるようなリア先輩の一言。それを合図に、視界の端で渚が高い上背を屈めた。




渚はリア先輩を壁際に追いやって。

大事に大事に、周りから隠すように守るように壁に両手を突いて。

自分の体で作った檻の中に彼女を閉じ込めて、彼女にキスをした。




「………なっちゃん。なっちゃん、好き……」




満たされきったその甘い囁きが、あたしの鼓膜にねっとりと絡んでくる。






----------ああ、あれがキスだ。





音を立てないようにそっと図書室のドアを開けながら思った。