可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。




みんな仲のいい者同士で集まって、にぎやかになる昼休み。

あたしは図書室に向かうため、人気のない二号舎に向かって歩いていた。



うちの学校は『二』の字型に校舎が二棟建っていて、その間をふたつの渡り廊下が繋いでいた。

グランドに面していて教室がある方の棟を一号舎、理科室とか家庭科室とか特別教室がある棟を二号舎と呼んでいた。




昼休みに二号舎の廊下を歩いているのは先生くらいで、生徒の姿はまず見ない。

職員室のある1階はともかく、それ以外の階なんてほとんど人通りがなくて、ときおり一号舎から生徒の賑やかな声が聞こえてくるくらいだ。




図書室はそんな二号舎の、2階の最奥地にあった。




今日も図書室へと続く廊下は無人で、一号舎とはまるで別次元のような静寂の世界。

あたしも自然と足音を殺すような歩き方になる。





今日も明日もこれからも、あたしは『ぼっち』のままでいるんだ。

そんな現状を確認するような。決意するような。

この静か過ぎる時間。



上履きのゴム底を意識するように、ただ静かに静かに足を運んでいく。




でも今日は突然その静寂が破られた。





「しろって言ったの由梨亜だろ」




唐突に。

聞き慣れた、けれどあたしの足音と同じくらい押し殺された囁き声が聞こえてきた。