「………ニカ、舌出せ」
渚が少し潤んだような目で命令してくる。物欲しそうな顔。たぶん今のあたしも同じ顔だ。
「おまえが出せ、バカ」
そう言いながらも、あたしはくちびるを開いて舌を突き出す。
「ほんっと、かわいくねぇのな、おまえ」
そう言いながらも、渚はすこしだけ満足そうな顔してその舌に吸い付いてくる。
セックスなんてしようと思えば簡単に出来てしまうことを、あえてしないという選択。
セックスするよりも特別なことしてる錯角。
それだけがあたしと渚がキスフレンドでいる意義みたいなものだと思っている。
他の誰にも理解出来ないだろう、いびつな関係。
あたしも渚と同じくらいキスフレンドって共犯関係にのめり込んでいる。
他の誰にも………渚の彼女にすら代わることが出来ないこの関係に。


