「痛いの?この身体の痣とか傷って、やっぱあたしのせいなの?」
「………ただの男の勲章だっての」

「ばっかじゃないの。そんなの嫌だから。渚、今日ほんとに何してきたの。お願い、もうこんなのやめて」
「そんな顔すんなよ。ご生憎様、いくらおまえにお願いされたって、こっちにも男のメンツってもんがあるんだよ。おまえは余計な口挟まないで大人しくしてろ」

「意味わかんない。あたしのお願いより、メンツなんかが大事なわけ……?」

渚を睨み付けると、なぜか渚は「おまえいいヤツだな」なんて言ってくる。


「おまえはさ、自分より他人が傷つく方が嫌なんだな」
「他人がじゃなくて、渚が、だよ。………ほかの人ならこんなに怒らない」

「………そういうこと言ってると、こっちもいい加減自惚れるぞ?」


そういって渚がキスしてきた。でもそれは、きっとまたあたしの方がキスしたそうな顔してたからなんだ。

アキちゃんと何度もキスしたことがあって、キスなんてたいしたことないって思っていたけど。でも渚とのキスは全然違う。心がバラバラに千切れそうになる。なのにもっと欲しくて胸がぎゅってしてくる。


「………おまえキスされてそういう顔するなっての。男にそういう顔見せたらどういう目に遭わされるのか分かってるのか?」
「わからない。………だからおしえて?」


あたしの言葉に、渚はびっくりしたような目であたしを見てくる。そのまま数秒、見詰め合っていたら。


「ふっざけんな……っ!!」


いきなり、部屋に哉人くんが押し入ってきた。