可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。


バスは雨が降れば利用客も増えるけど、今日は5月らしく爽やかに晴れているせいで乗客がほとんどいない。

今はシルバーシートに腰を沈めたおばあちゃんと、斜め前のわりと近くに座った、大学生っぽい私服姿の女の人だけ。




その女子大生だけが、あたしたちがキスをするたび、ちらりと視線を投げかけてくる。




「……あそこのショートカットの女、俺のこと見て物欲しそうな顔してね?」




渚がたのしげに言う。



自意識過剰って言ってやりたいけど。

物欲しそうかはともかく、その女子大生が渚を見ているのは間違いない。




渚はただでさえ背が高くてイケメンで人目を惹くのに、

そんなヤツがどうみても冴えないブスなんかといちゃいちゃしていたら、目を疑って二度見、三度見するのは当然だ。




「ウケるわ。見すぎじゃね?」




自分で見られるようなことをしておいて、渚はそういって鼻で笑う。