『通学バスン中とかど?』
昨晩、複素数の単元に取り掛かって数字の海を泳いでいると。
渚はあたしが思いつくよりも先に「ゲスいシチュエーション」をメールで送ってきた。
『他のヤツが乗ってないような時間。放課後より、午前?』
いつもながら簡潔な文。
絵文字もなし。
あたしは同じくらい愛想のない文面で、『OK。明日10時30分発に乗る。遅れたら置いてく』と返した。
その翌日である今日。
遅れるどころかあたしより先にバス停に並んでいた渚を見つけて。
律儀で馬鹿馬鹿しい渚のはりきりように、あたしはすこし愉快になった。


