顔に残った涙の筋。だぼだぼの渚のパーカーを着て、まるで自分の体を守るようにその広い襟ぐりをかき合わせている仕草。着ているものとちぐはぐな和物の履物に、ウィッグを無理やり剥がされたままのぼさぼさの髪。
ひと目であたしの姿に不穏なものを感じ取ったのか、愛さんの表情が緊張したように固くなる。
「---------あがって。ちょっとこっちおいで」
そういって愛さんはあたしを家に招き入れる。
「ええ!!姉貴、この子、渚の嫁さんって公認しちゃうの?」
「ってかねーちゃんメシはまだぁ?俺、腹へっちったぁー」
「うるさいッ。だまって待ってなさいッ」
愛さんは一喝すると2人に言った。
「荒野、あんた唐揚げ続き揚げときな。二度揚げ絶対、カラっと揚がらなかったらぶっ飛ばすからね!あたしの晩酌用も避けとくんだよ。哉人はおあずけ、先食べるんじゃないよ。つまみ食いなんてしたら明日からあんたの弁当、千切りキャベツと白米だけだかんね」
それだけ言うと愛さんはあたしと渚と一緒に二階の部屋に通してくれた。


