『賑やかってか、マジでうっせぇよ』
本気ですこしうっとおしそうな、でもそれ以上にあったかい目でそう言っていたときの渚を思い出しながら、じゃれあいみたいな兄弟喧嘩を外野気分で遠目から見ていると。
「うるっさい、馬鹿ども。男3人でなに阿呆みたいに騒いでんの、もうすぐメシって言ってんでしょ!!」
すごい小柄な女の人が部屋の奥からドスドス威嚇するような足音を立ててやってきた。
……愛さんだ。
成星院の『後星会』の中でもひときわ存在感のあった人。渚たちに混じると一段とちいさく見えるけど、その小柄な体にズバ抜けた迫力が漲っていた。
「うぎゃ、姉貴ぃッ!!」
「荒野、あんたうっさい、この無駄筋肉馬鹿」
「ねねね姉ちゃん!妊娠!!鉄拳制裁!渚が、渚が、美少女っ!我が家の家訓破って!!」
「哉?あんたまた何意味のわかんないこと言ってるのよ、課題は終わったの?」
愛さんは言いながら歩み寄って来て、玄関に立つあたしを見つけると眉を跳ね上げた。
「渚?この子は……?」
聞きながらも愛さんはあたしに視線を走らせる。


