「真奈美さんっていって、由梨亜先輩みたいにすごくきれいな人で頭も性格も良くてみんなの憧れで、誰からも好かれててやさしくて。褒め言葉が尽きない、そんな非の打ち所のない人だった。すごく妬ましいけどあたしもほんとはすごく真奈美さんのことが大好きだった。なのにね、あたしがボロボロにしたの。自分のわがままで真奈美さんのことも聖人のことも」




あのふたりを狂わせた元凶はあたしだ。

渚の隣にいると、ときどきそれを忘れてしまいそうになるけど。あたしにはたのしい学校生活だとか、甘い恋愛だとか、そんなものを享受する資格なんてない。




「ねえ渚。由梨亜先輩みたいな情の深そうな女って、ほんと、なにやらかすか分からないよ。大好きな彼氏にフラれて、どんな極端なことしでかすかわからないんだよ?」


あたしはいつの間にか向き合う形になっていた渚に、まるで喧嘩するみたいな勢いで聞いていた。


「それでも由梨亜先輩のこと捨てて、まだあたしと遊んでられるの?そういうクズになる覚悟、あんのかよ」



それしか選択肢がないような言い方は、卑怯だってわかってる。

こんな言い方したら、やさしい渚が身動きが取れなくなるのも分かってる。だからこそ言わずにはいられなかった。



「あたしはそんな渚、見たくない。……バイバイ、渚。もうこないで」