-----渚のその正直すぎるとこ、ときどきほんとに憎たらしいよ。
-----だろうな。けどおまえにやれない。1分でもこいつのこと、やりたくない。

-----知ってるよ、そんなこと。……崎谷さんだって、俺のことは警戒するクセに、渚にはこんな安心したみたいに体預けてるし。

-----ばぁか。今こいつ、意識ねぇからだろ。そういう勝手なこと言ってると、今にこいつ目ぇ冷ましてキレるぞ。

------なんだ。やっぱ渚、崎谷さんとすごい仲いいんじゃん?でも由梨ちゃんはどうするの。




その名前に、重たかったあたしの意識がいっきに覚醒へと近付く。




-----俺はもう、由梨亜には謝ることしか出来ねぇよ。

-----けど渚も見ただろ。由梨ちゃんが学校で手当たり次第にクラスの男子とべたべたしてるの。それで女子から顰蹙買ってハブられかかってるのも知ってるんだろ。いくら別れたって、渚への当てつけで自棄になってる由梨ちゃん、このまま放っておくわけにいかないだろ。





別れた?

リア先輩と渚が?

あんなにお似合いで、あんなにきれいなひとだったのに?






「……それ、……どういうこと……?」



目を開けるより先に、声が喉から絞り出されていた。